メキッキオヤを編んでみました

こんにちは
タティングレースを編み始めてから、ずっと気になっていたメキッキオヤ
トルコ版のタティングレースとも言われたりするメキッキオヤですが、日本語版の編み方の本が全然手に入らなくて、手も足も出ませんでした
というのも、国内で出たメキッキオヤの本は10年以上前に出た一冊のみ
それも今は廃版になっている&電子化もされていなくて、どれだけ欲しくても運良く古本に巡り会えるのを待つしか無いという状況(※今月、電子書籍版が販売開始されました!!)
ならばYouTubeで……と検索してみたのですが、日本人はおろか海外の人でもメキッキオヤの編み方を動画で出しているチャンネルは見つかりませんでした
なんとか数ヶ月前に入手できたのですが、実家への帰省を控えていたし、かぎ針編みの練習中だったこともあって、本棚で眠らせていた本を、ようやく先日手にとって編んでみることに……
タティングレースを編んでいるので、編み方さえわかればなんとかなるだろうと軽く考えていたのですが、それが甘い考えだったとすぐに思い知ることになりました
編み方が全然違うんですよね……
メキッキオヤを編んでる方のブログで、「メキッキはタティングと違って目を移さないで編む」と書いているのを見かけたことがあって、てっきりタティングでいうモックリングを編むときのような感じでずっと編むのかと思っていたのですが、リングの作り方からしてもう違っていたんです

↑現在日本で唯一販売されたメキッキオヤの本

↑こちらはタティングでは編むことができないメキッキならではのモチーフ
まずタティングは、簡単なモチーフであれば一本のシャトルで編むことが可能です
これはタティングを編むときの特徴である『目を移す』という動作があることで、シャトルに巻いた糸は編み糸であると同時に芯糸にもなるからです
タティングレースの場合、シャトルに巻かれた糸は基本的に芯糸という扱いなのですが、ピンと張った糸に巻き付けた瞬間は編み糸で、張った糸に目を移し変えた瞬間に芯糸に戻る、という動作を繰り返して編んでいるんです

↑シャトルから糸を少し引き出す

↑引き出した糸を左手に巻き付けてピンと張る

↑張った糸にシャトルの糸を巻きつけて…

↑目を移す

↑動作を繰り返していくと、こんな感じで編めていきます
一方、メキッキオヤの場合は、簡単なモチーフであってもシャトルは二本必要になります(タティングで二本シャトルを使うようなモチーフはメキッキだと三本必要になります)
芯糸用のシャトルと編み糸用のシャトル、という感じです
編み図によって途中で役割が入れ替わることはありますが、同時に両方の役割を兼ねることはありません

↑最低でも二本、編み図によっては三本必要になります

↑シャトルは一本が芯糸、もう一本が編み糸です

↑最初の一回は芯糸を輪にするため根本を押さえる役割。目には数えません

↑根本を押さえたら開いて、一本の糸を芯にして目を移さず編んでいきます

↑一番左は目に数えないリングを押さえるために編み付けたもの、芯糸を挟んだ右の三目がリングに編んでる目(数える目)になります
さらにタティングとメキッキでは、編んだときの結び目が逆にできてるのがわかるでしょうか?

↑タティングは向かって左に結び目ができてます

↑メキッキは右側に結び目ができます
結び目が逆ということは、ピコットができる向きも逆、そしてピコットを繋ぐときの向きも逆、ということになります
なので、タティングとはピコット繋ぎをするときのやり方が異なってきます
さらには編み終えた時に最初のリングと最後のリングを繋ぐやり方も違うんです……
メキッキは、リングを作るときに芯糸を押さえる目を挟むので、リングからチェーン、チェーンからリング、と切り替えるときもやり方や形ももちろん違ってくる
本を片手に「え、これはこっちでいいの?」「ここはどうなってるの??」と四苦八苦しながらモチーフを編みました

↑左のリングが白のものがタティングの技法で編んだもの、右のリングが赤いものがメキッキオヤの技法で編んだものになります
あと、この本を読んでわかったことなのですが、メキッキオヤは本国トルコでもできる人が極端に少なく、消えつつある手芸の一つになっているのだそうです
どうして同じトルコのオヤであるイーネオヤやトゥーオヤは上げてる海外ユーザーがいるのに、メキッキオヤのやり方を上げている動画が無いんだろう? と疑問だったのですが、そのせいだったんですね……
手芸をやっている方ならわかると思うのですが、どの手芸でも文章や画像、イラストだけではどうしても伝わりにくい部分があります
だからこそ、動画を見たり、もっと詳しく知りたければお金を払ってでも教室に通って教わったりしますよね
一度でも編める人が居なくなってしまったら、どれだけ文献や実物が残っていてもその手芸の技法は復活できない可能性が高くなります
メキッキオヤが無くならないためにも、日本でもまたメキッキオヤの本をぜひ出版して欲しいです
ではまた~

↑電子版は今年の5月17日に発売されたそうです。入手困難な本だったので、電子版の発売は本当に良かったです
↑紙書籍は中古しかないこともあって現在はまだ高めです(これでもこちらのショップはかなり良心的な価格でした)

↑シャトルはタティングのものが流用できます(メキッキ用の物は本来もっと細身でツノ無しタイプ。トルコ手芸を扱ってるお店で売られてることもあるようです)
↑ピコットゲージもタティングのものが使えます。コームタイプよりこちらの方がおすすめです